「俺も行くぜ。
舞と一緒に。
女一人で物騒な道歩かせたくないだろう」
「敬里、遊びじゃないんだよ」
「あぁ、知ってるよ。
遊びじゃないことくらい、もう嫌になるほど理解してる。
だからこそ、俺はお前と一緒に行きたいんだ。
好きなやつなんだから、傍で守りたいに決まってんだろ」
敬里の突然の宣言に、私は絶句する。
そうかもしれないと感じる部分は確かにあった。
だけど、それを自覚する自分には蓋を続けてきた。
私の前世と、深く関わりのある敬里だから。
憎まれても、好きになって貰えるはずなんてない私のはずだから。
「斎藤さん、行ってもいいよな。
舞と一緒に。
俺がアンタの誇りと、アンタの分まで舞を守ってやるよ」
そう言うと、敬里は「荷造りをしてくる」と告げてまた何処かへと姿を消した。
「加賀……」
「大丈夫。
斎藤さんの想いはしっかりと守るから。
斎藤さんは会津で為すべきことを。
私もちゃんと合流する」
「頼む……」
そう言うと、斉藤さんは文机に向かって筆をとって何かを記し始めた。
「それは?」
「困ったら、ここに記した人を訪ねろ。
多分、助けになってくれるはずだ……」
そう言ってて手渡されたメモを私は丁寧に折り曲げて、懐へとしまい込んだ。
その数刻後、私と敬里と二人で……西へと動き出す。
斉藤さんの想いと、敬里の想いを受け止めながら、
私自身の罪悪感を今も感じずにはいられなかった。



