それ故に、セリに男を近ずけるなど嫌で仕方ないが今回ばかりはそんな事も言えず。


ラグーン帝国の竜騎士団に泣く泣く私の署名でもって援軍要請を行った。


セリのため、セリのためと呪文を唱えながら書類を準備しサインしていた私を苦笑で見守っていたのもイソルガである。



「竜騎士団の団長の伝令役が報告してくれたよ。本日午後第1~第3部隊を率いて団長自ら魔の山とシルベスターの国境境の最前線に出てくれるって」


「あの大陸最強の竜騎士、ガルドウィンがお目見えだって。あの一騎当千の竜騎士ガルドウィンが戦場の最前線に出るなんて久しいよね。10年前に魔の山での混乱で国境付近が魔獣で溢れた時以来じゃないか?」


そう言うイソルガに


「それぐらいジルギーリ大陸は平和そのものだったもの。その均衡を崩すドミレスタはこのまま放置は出来ないでしょう。徹底抗戦とこちらを甘く見るなと、ここで叩き潰さねば他に示しがつかないということよ」

そう私が返すと


「そうだね、魔法大国を侮るなかれと知らしめねばならないね。そもそも王立騎士団と名乗ってるけれど、あえて抜いてる単語に気付かないおバカさんだものねぇ」

イソルガの苦笑しながらの発言。


そう、これもあえてずっとそう名乗ってきたのは本来の実力を伏せるため。

竜騎士団に負けるとも劣らぬのが我が王立騎士団。


いや、王立魔法騎士団である。


魔法大国で騎士がただの騎士であるわけが無い。
物理攻撃と魔法技を合わせて使えて、体術も剣術も一流に仕込んであるのが我が王立騎士団である。


「さて、どこに喧嘩売ったのか思い知らせて差し上げますわ」


夫婦でニヤッと笑う。


この2人、ものすごく似た者夫婦である……。



国王陛下、ジェラルド2世の胃痛の種1と2であった。