執務室にたどり着き執務机の上の処理済み書類を処理済み箱に入れて廊下に出しておく。


各々出したものは自ら取りに来いスタイルである。
出されたものは翌日朝までには片付けておく。
そうして箱に入れて部屋の前に出しとけばお互いにタイムロスが少ないと考えてそうなった。

その、作業を片付けてルカに声を掛ける。

「ご苦労だったなルカ。そこに座れ」

そう言って応接セットに向かわせる。


「ありがとうございます。団長、まず急ぎ耳に入れたいことがあります」


「なんだ?」



「どうも、魔の山の向こうがきな臭いです」

「どういう事だ?」


「ドミレスタがどうも領土拡大を狙い、手始めに隣りの国を1つ攻め落としました。落ちたのはリオレル王国です」


「あのノーラント大陸との貿易港で栄えているリオレルを落としたのか」


「えぇ、リオレルで情勢を探る部隊からの報告書がこちらに。部隊は撤退し、カルバインの部隊と合流しています」


「そうか……。皆、無事でなによりだ」


「しかし、カルバインも安全とは言えません。次に狙うのはカルバインかナイジェルと言われています。魔の山よりあちらを統一する目論見がドミレスタ帝国にはありそうです」


「今まではどこも和平を結び平和に来ていたのに。何故だ?何があった?」


ルカならそこまで調べてきた資料を預かってるはずだ。


「どうやら穏和だったサミュエル陛下が暗殺されて、息子のオルラント殿下に代替わりしてから交戦姿勢で領土拡大に舵切りしたようです」

ルカも苦い顔をして告げて来た。

ドミレスタ帝国には、軍隊がある。
軍事力の強い国だ。


「厄介だな」

思わず、顔を顰めて呟いてしまった。