うわ、頭痛っ!なにこれ、体重すぎでしょ。
あ、そっか。意識失ったんだったわ。笑

「 …お、目が覚めたな。」

「 …ずっといたの?」

隣にはジュソクがいた。
あんな弱いとこ見せちゃったからなんとなく気まずい。

「うん。
熱もすごかったし、あんまり辛そうだった
から…帰るにも帰れなかった。それに…
泣いてたし。」

ん?泣いてたっけな?いつのことだろ?

「泣いてた?私が?」

「うん。覚えてねーの?
うなされながら泣いてたぞ。最初は具合悪く
て泣いてんのかと思ったけど、違った。」

まって、泣いてたの?恥ずかしすぎるでしょ。
全く記憶にないんだけど。
現実についていくのが大変。

「 お前ってさ。」

「ん?」

ちょっとの間があるのはなんで?
痛いとこ突かれる予感がして怖くなった。

「 辛いことあっても隠すタイプだろ?
前から思ってたんだけど、1人で抱えてたら
いつかガタくるぞ。今日みたいに。」

予感的中。一番触れられたく無いところを鷲掴みにしてきた。
顔も見たく無いくらい気まずい雰囲気。

「 練習生やってるとさ。
毎日トレーニングあるし、常に審査されてる
し、当然辛いよな。でもさ、みんなが通って
きた道だからって自分だけ弱音吐いてられな
いって思ってんだろ。だから倒れるまで誰に
もいえなかった。だよな?」

何、この空気。 図星すぎてなんにもいえないじゃん。気付いてくれて嬉しいんだけど、何でこんなに胸が苦しいんだろ?

「 家族に迷惑かけて私は何やってんだろ?
そう思ってるんだろ。
みんなそうだよ。みんな同じ悩み抱えてるん
だよ。自分だけじゃない。たまにはヘコんだ
っていいだろ。ずっと背伸びしてたら疲れる
し。辛い時は思いっきり泣いたらいいじゃん。
我慢しないで。また立ち直れば結果オーライ
だろ?」

涙が溢れてきた。
今まで張ってきた見栄が崩れ落ちる感覚。
失敗しないように。それだけしか見えなくて、重荷を下ろす方法を忘れていた。

「…そうね」

返す言葉はそれしかなかった。
全部ジュソクの言う通り。私はこの言葉を無意識に聞きたがっていたのかもしれない。

「 …ジュソク。
もしも、私が慰めて欲しいって言ったらどう
する?」

その瞬間、ジュソクは私を抱きしめた。
優しくて、力強かった。

「 辛かっただろ。
俺に頼っていいぞ。いつでも話きくから。」

もう自分を止められなかった。
小さな子供みたいにワンワン泣いた。その度に強く抱きしめてくれる。
今までの辛い記憶が全部消えていった。

Fin.