「俺、千愛希ちゃんのこと大事にするから」



もう、絶対に傷つけない。
俺、バカだけど。
ちゃんと人を愛す力だけはあると思う。



「んっ」



千愛希ちゃんの唇に自分の唇を重ねれば、彼女から漏れてくる甘い声。



「ここが図書室なのが残念」



……って、俺何言っちゃってんの。



「も、もうっ」



千愛希ちゃんの顔が赤くなるから俺の顔まで赤くなってくる。



「俺のこと理玖って呼んでよ」



早く、あいつを追い抜かしたくて。

だから早く、呼び捨てにしてほしかった。



「あんまり男の子を呼び捨てにすることないから照れるなぁ……」


「新庄のことは呼んでんじゃん」


「流星は赤ちゃんの頃から一緒だから」



やっぱり、俺は嫉妬深いのかもしれない。



「いやだ。新庄よりも俺の方が遠い気がしていやだ……」



口を開けばこんなわがままが出てきてしまう。



「あ、ごめんね。そうだよね。あたしもモデル仲間の子達が下の名前で呼んでるのいつも嫌だったから……呼ぶね……理玖……」



「やっべー」



好きな子に呼ばれる名前は破壊力がありすぎた。