「なぁ、お前本当に笹波さんのこと好きじゃないの?」



屋上に連れてこられて、振り向いたかと思うとそう聞かれる。



「だから違うって」



そりゃ、可愛いとは思う。
あの笑顔を知って、このクラスの誰よりも可愛いと思ってる。



「じゃあなんで、元気ねぇの?」


「それは病気だから」


「笹波さんが一緒に教科書を見てくれないこと、ショックじゃねぇの?話せなくなってもなんの問題もなし?」



俺の病気には大して触れず、淡々とはなす。



「わっかんねぇよ。そんなん……」



俺はドカっとフェンスを壁に座る。



「お前にはレベル高いか」



ふっと笑って俺の横にヒロも座る。



「……恋の先輩。恋ってなんだよ」


「恋の先輩ってなんだよ」



ヒロの眉間にシワがよる。



「だって、ヒロは普通に恋愛してんじゃん」


「まぁーそりゃ。でも、間違えることもあるよ」


「……間違える?」



ヒロは、元カノである心結ちゃんのことを未だに好きで。
でも、別れる原因はヒロにあったから。
そういうことを言ってるのだろうか。