「……えっと」



辺りをキョロキョロし出す千愛希ちゃん。



「ん?こっち側から通ってる人あまりいないから誰もいないと思うけど?」



俺といるところを見られたくない人でもいるのだろうか。

また、胸がちくんと感じる。

……病気が進行してるのかもしれない。
感覚が短くなってるし。



「好き、だよ」


「え?バカとかじゃなくて!?そっかー!千愛希ちゃんは俺のことちゃんと好きでいてくれてんだね!」



大体の人はこの質問。
〝バカ〟とか〝アホ〟とか〝空気読めない〟とか基本失礼なことしか言ってこない。



「……へ?」



キョトンとした顔になって、立ち止まる。



「あれ?違う?」



聞き間違えて、やっぱりバカとか言われてた!?



「バカじゃないとは言ってない」


「えっと……?」



少しばかりか怒っているような、千愛希ちゃんの瞳。



「どういう意味できいたの?」


「意味なんてないよ。1種のアンケート?俺みんなに聞くの。心結ちゃん……あ、ヒロの元カノね。あの子なんてさ、空気読めないバカでアホとか言ってさ。さすがヒロの彼女だっただけあるよねー。俺あんま話したことないのになかなか傷ついた」



なぜか言葉を止められない。