答える前に問い返した。
「………」
睨むようにお互い見つめ合う私達。
「遥ー、疾風さんー」
愛麗の声に先に視線を外すと疾風さんに背中を向けて歩き出した。
後ろから舌打ちがきこえてきたけど、聞こえなかったことにした。
「何、話してたの?」
愛麗の側に行った途端腕を捕まれて耳打ちされた。
「何も?」
「そ?なんか優が言うには疾風さんあんまり女と話したりしないんだって」
珍しい、て言ってたよ。
ふーん、そうなんだ。
「態度悪いって言われただけだよ」
「は?」
「てか、私カラオケ終わったら帰るから」
「え!?」
何で、と喚く愛麗。
「二人っきりになりたいでしょ?」
「う……」
そりゃ、そうだけど……、とゴニョゴニョと呟く愛麗に私は、苦笑する。
「なら、いいでしょ。」
「帰りはどうするの」
ここまで優さんの車で来たからもちろん帰りの足はない。
「大丈夫、歩いて帰るし」
そんな遠くないから大丈夫。と愛麗を安心させるように笑みを浮かべた。
もし途中でダメだったらタクシーとか拾えばいいと思う。
愛麗は、口をあけては何かを言いかけて、また閉じるを繰り返す。
ぐらぐらと天秤に私と優さんをかけているようだ。
ここですぐに彼氏を取らない優しい子だってのは知っていた。
見た目は派手だけどね。


