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車が止まったのは、地元で人気のカラオケ屋だった。
人気の理由は、値段の安さだった。一人一時間100円なんてお得すぎる。
しかし、私自信はあまりこの店は好きではなかった。
カラオケは好きだが、なんていうか無愛想な店員ばかりなのだ。
こちらがムッときてしまう。
「あ?何してんだ」
そう、この男――疾風さんみたいな感じ。
もっと柔らかい表情とか出来ないのかな?顔はいいのになぁ。
「何、見てんだ」
「………何でもないです」
愛麗達は受付のところにいる。
なんで私達がこんな風に隣合わせで待っているかわからないけど、愛麗が振り返って手招きするので、そちらに行く。
「………遥」
低い声で名前を呼ばれて、足が止まる。
大して仲もよくない人に呼び捨てで名前を呼ばれるのに少し抵抗があった。
「……なんですか?」
肩越しに疾風さんを見る。
疾風さんは、私をジッと見下ろしていた。
「お前、いつもそんな感じ?」
「?」
「態度だよ」
何のことか首を傾けると付け加えてくれた。私の態度のことか………
「………貴方もいつもそんな感じですか?」


