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結局、涼音さんとはお互いに、これと言って特に言葉を交わすこともなく。


……あれからすぐに、それぞれの部屋へと向かうことになったのは良いけれど。


「ど、どこなの!?」


双葉さんに言われた通りに歩いてきたはずなのに、部屋がありすぎてどの部屋なのかがサッパリ分からない。


『ここから真っ直ぐすすんで、突き当たりを広間の方向に曲がって二つ目の部屋』

とだけ言われて、バカな私は『分かりました』なんて威勢よく答えたものの……。



そもそも、真っ直ぐにどっちの方向に歩くべきだったんだろう……と、今になって頭を抱えている。


双葉さんの部屋から左に真っ直ぐ来たけれど、真っ直ぐ進んで……ってことは、上に突き進むのが正解だったのでは?


と今更思ったところで、双葉さんの部屋にすら自力で帰れる気がしない。



こんなことなら、遠慮しないで双葉さんに部屋まで案内してもらうんだった。

風邪気味のせいか体調が優れないと言う双葉さんに案内してもらうのは気が引けて、一人で大丈夫だと言い張った結果がこれだ。


涼音さんは、双葉さんの部屋の斜め向かい側の部屋だったし……。


いいな、今頃もう寛いでいることだろう。