愛し紅蓮の瞳

「紅蓮は、それで幸せなの?」


「……あ?」


「好きでもない女を妻にして、大事にして、それで一生を終えるなんて、紅蓮の幸せはどこにあるの?」



私の言葉に紅蓮が静かに息を呑む気配がした。



「ほんと、変な女だな」


確かに。
私は変なのかもしれない。


別に紅蓮の幸せなんて、私が心配することじゃないんだろうし。紅蓮からしたら余計なお世話だって言われるかもしれない。


でも、私の知っている『結婚』って言うのは、お互いが幸せになるためのものであって、そこに愛がないなんて信じたくもない。

もし、私が紅蓮と結婚する道しかないのなら尚更。


やっぱりどうしたって紅蓮にも幸せであって欲しいと思わずにはいられないんだ。



「……紅蓮はどうして私を、その……妃にしたいの?」


「強いて言うなら……俺に、良い意味でも悪い意味でも、微塵も気がねぇから」


「え?」


紅蓮の意外な言葉に驚いて紅蓮を見つめれば、



「俺は、"大事にする"つもりではあるが、"愛してやる"自信はない」


「……っ」


「俺に気がある女を娶ったら、確かに話は早いし楽だし、1番いいのかもしれねぇ。だが、その気持ちに応えられる日は」



そこまで言って自嘲地味に口元を緩める紅蓮の気持ちを考えて胸がギュッと苦しくなる。