* * *
「……ん……」
頭が痛い。
身体も重い。
ゆっくり目を開ける。
「……ここ、どこ?」
知らない天井だった。
白い。
木の梁が見える。
ぼんやりした頭で周囲を見渡す。
壁。
障子。
畳。
見たことのない部屋。
いや。
見たことがないわけじゃない。
テレビや写真では見たことがある、昔ながらの日本家屋。
でも、
どうして私は、こんなところにいるの?
「……神社……」
必死に思い出そうと、記憶を辿る。
弟。
受験。
神社。
それから、手水。
紫黒色の水に、男の人。
琥珀色の瞳。
「……夢?」
だとしたら、どこから?どこまでが夢?
今もまだ、夢の中ってこと?
頭が混乱していて、何も整理できない。
「気がつきましたか?」
「……!」
突然聞こえた声に、私は布団から飛び起きた。
身体を起こせば、目の前には見知らぬ女性がいた。
四十歳くらいかな?
柔らかな雰囲気の人。
長い髪をまとめ、落ち着いた色の着物を着ている。
「大丈夫ですか?」
「は、はい」
反射的に答えてから、私は女性を見つめた。
知らない人。
知らない部屋。
知らない服装。
「ここ……どこですか?」
女性は一瞬、キョトンとした顔をして黙った。
それから、穏やかにこう答えた。



