愛し紅蓮の瞳

* * *

目を覚ますと、障子越しの光が部屋の中を淡く照らしていた。

白い。
昨日の雪と同じくらい、眩しい白だ。


「……朝?」

ゆっくりと身体を起こす。

昨日までの私なら、目が覚めれば当たり前にスマートフォンを探していた。

時刻を確認して、通知を見て、まだ眠い目を擦りながら学校へ行く準備をする。

それが当たり前だった。

なのに。


「……戻ってるわけない、か」

ぼんやりと呟いてから、胸の奥が重くなる。
そうだ。

私は――東州にいる。
ここは、私の知っている世界じゃない。

帰る場所も、帰り方も分からない。