「タカなんで雨谷さん呼んだんだろ?知り合いだったっけ?春翔」
「……知らないはずだろ、雨谷は」
雨谷はめちゃくちゃ可愛いくて学年1モテてる。まあ高嶺の花みたいだけどな。
俺はそんな雨谷を利用して付き合ってる。
ーー麻希を忘れるために。
そしていつか、雨谷を好きになりたいって思ってる。
いつも“好き”と伝えてくれる雨谷に俺だって応えたいって思ってる。
でも…いつまで経っても麻希を忘れられない。
時間…かかりすぎだよ……
「様子見てくるわ。」
「いってらっしゃーい!」
そんなこんなで屋上行ったはいいけど、ナニコレ?
手を繋いでて笑顔で“頑張りたーい”って…いや、なに?なにを?
気にくわない。…雨谷に触るな。
「雨谷、お前誰が好きなの」
「えっ…春翔だよ?」
「…なのに、あいつに触られてんの?」
「言い方が悪いよ、春翔。タカくんと握手しただけだって」
「…っ、タカくん、てなんなわけ?」
「だって、名字知らないもん。佐伯さんがそう呼んでなかった…?」
「雨谷がタカくんて呼ぶのは違くね?つーか、呼ぶなよ。」
「じゃあなんて呼べばいいの?名字教えてよ春翔」
「雨谷はっ…俺以外の男の名前呼ばなくていいだろ」
「へっ……?」
「っ、くそ…いいから、アイツともう関わんな!」
「…春翔って本当、天才だね…」
そう言って切なく儚く笑った雨谷が怖かった。
いなくなりそうで、諦めてるかのような笑顔で。
ーー離れたりしないよな…?だって雨谷は俺のこと好きなんだし…
なのにいくら自惚れても都合のいい考えをしても、不安は消えない。
「春翔、幸せになろーねっ」
「っばーか」
俺はわかってなかった。
いつもお前がどんな気持ちでいたとか、この気持ちに気付いてたとか。
ーーいつも下手くそな笑顔だったとか。

