教室は相変わらず蒸し暑くて、クーラー解禁前の梅雨は、いくら窓を開けたって涼しくなんてなくて皆のいらいらがうわうわと足下を独占していた。
酸素より思いから過呼吸気味のクラスメイトは、すぐ過ちを犯してしまうのだ。

「空野さん、きっもーい」
「変な名前に変な声えええ」
「学校来んなよお」

ほら、じめじめすると何が起きるか。
カビが生えるのさ。それすなわち、
陰湿になるってこと。

窓際の一番端っこ。髪の長い彼女が俯いているからまるで幽霊みたいだ。
凄くさらさらで真っ直ぐで綺麗な髪をしているのに。

皆気味悪がって近づかないんだ。
どうしてだろう。
美しすぎるからかな。

スカートの短い、制服を着崩した女子生徒が、その子をいじめる。