なにか話さなくちゃ…


そう思うのに出てくるのは単なる息ばかり。
口を開いても閉じるしかできずにぱくぱくさせてしまう。


「ゆず…」


曲のイントロが始まった。私は救われたようにステージを視線を移す。


あれ?今なんか話しかけてくれようとしてた?


自分のことで頭が一杯でなんて言ってくれたか聞き取れはしなかった。

ゆったりとしたピアノに乗せて響く大好きな歌声。
今はそれだけを感じよう。