もう夏希と別れてもう4ヶ月が経っているのに、まだまだ全然未練タラタラだ。


もう、すぐ、夏希と過ごした時間よりも、離れている時間のほうが長くなる。


そう考えると、夏希と過ごした半年とすこしの期間はあまりに短すぎた。


どうして永遠だと思っていたんだろう。

こんなにも早く、考えるよりもあっけなく終わってしまった恋なのに。



「元カレか」

「……!?」



呆然としていた私の背後から忽然と声が注がれた。
驚いて振り返ると窓のふちに手を置いて身を乗り出しているのは桐生くんだった。



「忘れられないって感じ?」

「あんたには関係ないでしょ」

「あるっちゃある」

「はあ?」



なんであんたに関係あるの。どう考えたってなさすぎるわ。



「俺が忘れさせてやろうか?」

「いい、断る」



この人、私が言ってること通じているのか疑問に思うぐらい無視した発言してくるな。


きっぱりと断ってからお手洗いに向かった。


心のなかのモヤモヤはいつのまにか彼へのイライラに変わっていた。



***



桐生くんは無口でクールな人なのだと勝手に思っていた。
ところがどっこい、彼はすごく、すごく……。



「おい、一緒にメシ行こうぜ」

「……なんであんたと食べなきゃいけないの」



私にだけ鬼絡みしてくる、とてもやっかいな人だった。


いまだっていつも清水さんと水無瀬くんと食べていることを知っていてわざと誘ってきている。新手の嫌がらせに違いない。


私、桐生くんになにかしただろうか。

嫌がらせされる覚えはこれっぽっちもない。



「俺がお前と食いたいから」

「やだ。本当にやだ」

「ごめんごめん、モナちゃんは俺たちと食うからさ」



水無瀬くんが私の本気の嫌がり方を見て仲裁に入ってくれた。

ありがたく水無瀬くんの背中に隠れると、桐生くんはいつも通り無表情になった。