砂浜を散歩した。
もうここには来ないと心に決めた。
ここにくるとやっぱりどうしても、夏希のことが恋しくなってしまうんだ。
永遠なんてなかった。
恋も愛も、ずっとなんて続かない。
想いあっていても、うまくいかない。
……もしも、私たちが高校生なんかじゃなくって、もうすこし大人になって出会うことができていたなら、この恋を最後の恋にすることができたのかな。
大きすぎる恋にしては、出会うのが早すぎたのかな。
私は夏希の最後の恋の相手になりたかった。
そして夏希は、私の最初で最後の恋の相手であってほしかった。
願ってももう、叶わないことだけれど……。
***
春になった。3年生に進級した。桜が満開に咲き誇っている晴れの日にクラス替えは行われた。
私の願いが通じたのか、水無瀬くんと清水さんとは同じクラスになることができた。
そしてもつひとつ、喜ばしいことがあった。夏希と黒木さんとクラスが離れたのだ。これは私にとってすごく大きなことたと思う。
これで私、平穏に卒業までの間、過ごすことができるかもしれない。
「モナちゃん、教室いこー」
清水さんに呼ばれて水無瀬くんと3人で教室を出て、新しいクラスに向かった。
新しい教室は一階にあるから、階段を毎日上り下りしなくていいのは心の底から嬉しい。
移動教室はあるけれど、それでも全然ましだ。
これから卒業までの間を過ごすことになる教室に足を踏み入れて、座席表を確認すると、席に座った。
ど真ん中の、一番後ろだ。
わがままを言えば窓際がいいけど、いい席かもしれないな。



