今日桂碁は、例の指輪専門店に来ていた。 昨日になって急にここに来ることが決まったのだった。 電話をとったのは母親だった。 一応両親とも、桂碁が何の買い物をしているのか、知っていた。 二人とも話を聞くと、頑張ってこいとだけ言った。 つまりは応援しているということらしかった。 なのにその言葉が、桂碁には不思議で堪らなかった。