「私がアイドルになった理由はね、

自分の心が女だったからなんだよ」


「どういうことなの?」

黛麒人(マユズミ アキト)は聞いた。

桂碁の、このことはメンバーの中でもこの5人だけはまだ知らなかった。

「性同一性障害ってやつでね。

意外と厄介なものなんだ」

「大変だったんだな。

モッチーはこのこと知ってるのか?」

「一年のときに話したよ」

一希と愛斗は中学校のとき結構仲がよかった。

「メスは入れたりするの?」

高橋樹は腕を切る動作をした。

手術のことだろうと桂碁は推測した。


「それは…ないかな?

みんなも知ってると思うけど、

俺は今、華のこと好きだからね。

できれば、華の前では男でいたいなって思っちゃって…。


女としてもいたいけど」