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今日の天候は、恐ろしいくらいに晴れ渡っている、ような気がした。

雲一つ無く、真っ青だ。

このわざとらしい清々しさが、俺をこれまた憂鬱にさせる。

全く、朝からこんなことではいけない。

気合いを入れて、営業部 事務所の扉を開く。



「おはようございますっ!」



ちらほらと挨拶は、返って来た。

そして、よく見ると、水野さんの席に彼女が居ない。

まさか、昨日のことがあって、お休みか?

水野さんに限って、そんなことはしないだろう、と朝から少し不安になる。

数歩進んだときに、柱の死角になっている資料の棚のところに、何となく人影を感じた。



「おはようございます」

「あ、わ、おはようございますっ」



そこに丁度、水野さんが居た。

誰かの気配を感じただけで、実際には見えていなかったから、尚更驚く。

挨拶をしてくれた水野さんの表情は、意外と穏やかそうだった。