「お!辻くんにも、とうとう彼女ができたのか」

「なっ、ちょ、大将!何言って……」

「いらっしゃいませ。何さんって言うの?」



俺が狼狽えているのにも構わず、大将は水野さんに愛想を振り撒く。



「ちょっと!いきなり失礼でしょうが」



水野さんの顔色を窺い、心配をして止めようとした。

しかし、そんな心配は無用であるようだ。

水野さんは初めこそ驚いていたが、直ぐにニコニコしながら、大将の方を見ている。

そして、先程の大将の問い掛けに答えてくれた。



「失礼だなんて、そんな……やっぱり辻さんの周りには、愉快な方が多いんでしょうね、きっと。大将さん、私は水野と言います」

「水野さんね。よし!辻くんの彼女さんってことなら、おもてなしさせていただきますよ!」