あれから、直ぐに二人して歩き出して、お目当ての居酒屋へと向かっていた。

その道中は、今日の仕事を振り返るような内容や、他愛もない会話で自然と繋がっていく。

会話の中でも、先程のストーカー野郎のことが、頭にちらついていた。

しかし、せっかく楽しそうにしている水野さんを、うんざりさせたくなくて決して口には出さない。

あの場所に取り残された奴の姿を思い出すと、ざまあ見ろなんて思えてしまう。

とは言え、後味が悪くないこともないが、いつまでも考えていたって、仕様がない。

気持ちを切り替えて飲もう、飲もう!

目的の店に辿り着き、暖簾をくぐる。

俺が自信を持って、水野さんにオススメできる店だ。

なんてったって、焼き鳥が絶品なのだから。

普段、混雑している店なのだが、運もよく、すぐに店内に入ることができた。

カウンター席に並んで座ると、店の大将が現れ、俺を見ると目を見開く。