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水野さんとストーカー野郎が、再会を果たしてしまった、あの出来事から数日が経った。

そして、本日の外回りも無事に終わり、今は定時を30分ほど回っている。

仕事にキリをつけて、みんなが徐々に帰りの支度を初めていた。

そんな中、水野さんだけが、未だにパソコンと向き合っている。

表情は至って普通。

思い詰めているような様子ではなさそうだ。

水野さんの元へ後輩 あきちゃんこと中谷さんが駆け寄っていく。



「水野さん。まだ帰らないんですか?」

「うん。もう少ししておきたい事があって」

「そうなんですね。私、今日は予定があるので、先に上がらせてもらっちゃいます」

「いいよ、いいよ。ごめんね、気を遣わせちゃって……お疲れ様」

「お疲れ様です。お先に失礼しまーす」



お疲れ様と水野さんは、もう一度言い直す。

その数分後に、山本くんもあがっていった。

きっと、そういう予定なのだろう。

その後も、業務を終えた順に、帰っていく。

オフィスには、部長と水野さんと俺が残っている。

俺も早くあがって、自宅でゆっくりしたい。

その前に、トイレに行っておくことにする。

席を静かに立ち、目的の場所へと向かう。