嬉しくて、堪らない気持ちになり、思わず涙が汲み上げてきた。
辻さんと比べる為に、もう終わったあの人をふと思い出してしまったからか、あの情景の余韻がやって来て、涙腺がおかしくなっているのかもしれない。
そして、鼻をすすったとき、しまったと思った。
ずっと前しか見ていなかった辻さんと、しっかり目が合ってしまったから。
目を見開いている。
「え! もしかして、痛かったですか?! え! それとも……あ、俺、別に何も怒ってませんからね! 冗談ですからね!」
慌てふためく辻さんが愛おしく思えて、仕様がない。
「あ、ち、違いますよ。ご、ごめんなさい。違うんです。私、やっぱり辻さんのこと、好きだな……って思ったら、泣けてきちゃって」
「すっ?!そんなこと言われたら……。そんなに想ってもらえるなんて、光栄過ぎますけど……出来れば、俺は水野さんには、笑っていてほしいな」
そう言って、笑う辻さんにまた胸のど真ん中を撃ち抜かれる。
こんなに悶えている私なんて、知らないであろう辻さんが、何かを思い出したように言った。
「そういえば……! 水野さん、ちょっと両手出してください」
「え?」
「いいから」



