うちの製品の不具合か何かで、製品が上手く作動しないという、問い合わせを受けた企業へ俺は今、訪れていた。

そして、受付にて担当者を尋ねると、案の定、奴が現れる。



「あれ?あなたですか」

「お世話になります。改めまして、この度、こちらを担当させていただきます、辻と申します」



しばらく向き合ったこのままの状態でいた。

相手 田中さんの如何にも残念そうな表情は、気に障る。

いつまでも田中さんの渋い顔を、観察していても、仕様が無い。



「製品に不具合の恐れがあるということで、お問い合わせいただきましたが……どのような状況か、一度見せていただけますか」

「……ああ、はい」



田中さんはその場でくるっと、向きを変え、先に行ってしまった。

俺に対する粗雑な振る舞いに、思わずムッとした。

その態度は、仕事上、いや、大人としてどうなんだ。

内なる俺が、ぶつくさ言っている。

間違っても表に出さないよう、気をつけて奴の後ろをついて歩く。