住んでいたアパートが襲われ1週間、
季節は夏、8月も中頃になっていた。

生活は快適で、すっかりなじんでしまっている。

部屋は住んでいたアパートと同じ6畳だが、
2畳ほどのクローゼットがあるため、ずっと広く感じてしまう。

家賃も入れると言ったが、受け取ってもらえず、
それどころか、洋服や鞄の代金もいらないと言われてしまった。

「このままじゃ駄目だよね」

何となく付き合うのではなく、ちゃんと好きか考えると決めたのだ。

今日は土曜日、両親と直哉さんと私、4人で朝食を食べる、
藤沢家の朝食は和食な為、私も合わせている。

ただ、スムージーだけは追加で作ってもらっていると、
お母さんか興味を持ち飲み始め、お腹の調子が良いと聞いたお父さんも飲み、
今では全員が飲むようになっていた。

朝食を食べ始めた頃、口を開く。

「あの、家を出ようと思うのですが」

3人は一斉に驚いた顔をした。

「家出するって?直哉、何をしたの?」お母さんが、叫んでいる。

直哉さんは、手を組み、完全にうなだれている。

「直哉は自分の思い通りにする事があるから、嫌気がさしちゃったの?」

お母さんの言葉に、京子さんの意見が合っていたんだと、認識する。

「そうじゃないんです、アパートが襲われて、そのまま転がりこんでしまって、
まだ結婚もしてないのに、このまま住む訳にはいかないと」

お母さんは、そんな事?と言った顔をしている。

「ずっとここに、いてくれていいんだよ」

お父さんが言いい、直哉さんも私の手を取る。

「どこにも行かないで」

真剣に告げられ、困ってしまう。

でもと言いよどむと、

「とにかく、そうゆう理由なら、今まで通り家にいてくれていいんだよ、
辛い事や不便な事があれば、遠慮なく言って欲しい」

お父さんに説得され、それ以上何も言えなくなってしまった。