奏斗くんは、私の話を相づちを打って聞いてくれた。
駅員さんが相づちを打って聞いてくれたように。
「そっか。それで悩んでいたんだな。」
「うん…。でも好きになっちゃいけないんだよ」
「なんで?」
「まだ付き合ってるかもしれないし
お兄さんの好きなタイプと私って全然違うから…。」
自分で言ったのに泣きそうになる。
「それってさ…」
奏斗くんが口を開いた。
「また失恋したくねえって逃げてるだけじゃねぇの?」
心臓がドクッと嫌な音を立てた。
図星だったから。
「誰かを好きになるっていい事じゃん。
でも、少なくとも今の逃げてるお前のことを駅員さんは
好きにはならねぇだろ。
逃げるな。堂々と好きだー!って思ったらいいんだよ!」
私はハッとした。
確かに今の私じゃダメなんだ…。
相手の理想のタイプと違うから弱気になるんじゃなくて
自分が相手の理想に近づかないといけないんだ。
それを気付かされた。
「わりぃ、熱くなっちったわ」
「ううん、ありがとう!」
お礼を言うと、奏斗くんは左腕で顔を覆って
おう。と言った。
その後特大抹茶パフェと奏斗の注文したコーヒーが運ばれてきた。
私が特大抹茶パフェに興奮しているときに
「今のままで可愛いのに…」と奏斗くんが呟いたのを
私は気づかなかった。
