「遅くなってごめんな。今日は忙しかったあー!」




駅員さんは皆の安全を守っているもんね。




まだ新人なのに、駅員さんのこと、尊敬するよ。





「はい、ブラックコーヒー!」





「おー!いいのか?ありがとう」





2人で座ってコーヒーを飲む。





そして他愛のない話をする。







「なあ、莉子ちゃんって彼氏いないの?」




!?




いきなりそんなこと聞いてくるからコーヒーを吹きそうになった。




私は初恋以来、恋はしていない。





だからもちろん、彼氏なんていなかった。





それどころか男の子と話すことも難しいのに…





「いないよ。


多分ずっと初恋を引きずってるからだと思う」





「莉子ちゃんの初恋?」





「うん。クラスメートの男の子のお兄さんで

そのときその人は高校1年生だったかなあ。



笑顔がキラキラしててかっこよくて憧れの存在だったんだあ。」





駅員さんから返事が返ってこなかった。







「…?駅員さん?」





「あっ…。ううん!なんでもない!」





なぜか私の恋愛話になるといつも固まる駅員さん。




…変なの。





もしかして本当にお兄さんだったりして。





そんなわけないもんね。