「ところで、吉良くんとはどこまでいったの?」


想像してゾッとする最中、キラキラと目を輝かせた涼子ちんが、興味津々な様子で訊いてきた。


「球技大会での吉良くん、まるで沙弥ちゃんのナイトみたいだったもの……!」

「それそれ! 私、あの吉良様が!? って、目ぇ飛び出そうになったし」


……へ?

修平が……あたしのナイト?


ナイトっていえば、命をかけてお姫様を守る……。


「クフッ」


ポワンと頭上に浮かんだ妄想絵図に、意図せず声が洩れた。


「やっぱりそう思う~?」

「ええ。だから、何か進展があったのかと」

「え~?」


やだやだ涼子ちんったら~、大・正・解っ。

そういうのって、自然とわかっちゃうものなのね。

もう、照れちゃうじゃない。


「……聞きたい?」

「ぜひ!」

「……ほんとにぃ?」

「もう、もったいぶってないで早く言いなさいよ」


なかなか話さないあたしに、痺れを切らしたらしい。

トントンと片足で床を鳴らしながら、まなみんが苛立ちの混じった声でそう言った。


はいはい、言いますよー。

ふふっ。


「実はね?」


小さく笑ったあたし。

ちょいちょいと手招きして、寄せられた耳元に囁いた。



「キス、しちゃった」