「ケーキ作りを、教わってるの……っ」



絞り出した声。

あとはもう、俯くしかできない。


「ケーキ作り?」


……言ってしまった。


「そんなことしていたの?」


……知られてしまった。


お母さん、どんな顔してるかな?


──怖い。


考えただけで身体が強ばった。

サーッと血の気が引いていく。

気づけば、指先の感覚がなくなっていた。


「どうしてケーキ作りなんか」

「そ、れは......」


なんて返していいかわからず、言葉に詰まってしまった。

それ以上言葉が出ずにいると間もなく、耳に短い溜め息が聞こえた。



「芽衣、わかってるでしょ? 遊んでちゃ弁護士にはなれないの」



──ドクンッ!


お母さんの発したその言葉が、心臓に深く突き刺さった。