「桜庭さん、顔を上げてください。謝る必要はないですよ」
シーンと静まり返った会議室に響き渡った声に驚き、恐る恐る顔を上げると、常務がニコニコと上機嫌に笑っている。
この状況にどうして笑っていられるんだろう。
不思議に思って首を傾げると、今度は人事部長が口を開いた。
「ここにいる全員、サクラさんのファンなんですよ」
ファン!?
常務をはじめ、部長たちが私のファン!?
あまりに驚いて、ポカーンとしてしまった。
「正確には娘や妻がファンで、それがきっかけでね。いや~、年頃の娘と何を話したらいいかわからなくて。それが今ではあなたの話題で持ちきりなんですよ」
「こんなオジサン連中もファンになるくらい、桜庭さんの歌声は魅力的ですよ」
常務や部長たちに誉めまくられて、恥ずかしすぎて居たたまれない。
「桜庭さん、総務部長からあなたの真面目な仕事ぶりの報告を受けています。出来ればこのまま働いてもらいたいんですが、どうでしょう?」
常務はとてもありがたい言葉を言ってくれた。
それでも私は首を左右に振ってお断りした。
謝恩会を最後に辞めさせていただきたい、と。
私の頑なな態度に最後は常務が折れた。
シーンと静まり返った会議室に響き渡った声に驚き、恐る恐る顔を上げると、常務がニコニコと上機嫌に笑っている。
この状況にどうして笑っていられるんだろう。
不思議に思って首を傾げると、今度は人事部長が口を開いた。
「ここにいる全員、サクラさんのファンなんですよ」
ファン!?
常務をはじめ、部長たちが私のファン!?
あまりに驚いて、ポカーンとしてしまった。
「正確には娘や妻がファンで、それがきっかけでね。いや~、年頃の娘と何を話したらいいかわからなくて。それが今ではあなたの話題で持ちきりなんですよ」
「こんなオジサン連中もファンになるくらい、桜庭さんの歌声は魅力的ですよ」
常務や部長たちに誉めまくられて、恥ずかしすぎて居たたまれない。
「桜庭さん、総務部長からあなたの真面目な仕事ぶりの報告を受けています。出来ればこのまま働いてもらいたいんですが、どうでしょう?」
常務はとてもありがたい言葉を言ってくれた。
それでも私は首を左右に振ってお断りした。
謝恩会を最後に辞めさせていただきたい、と。
私の頑なな態度に最後は常務が折れた。