「星川くんは、なんでもお得意そうで」


「まぁね〜」


ちょっと嫌味のつもりで言ったのに、星川くんは嬉しそうにふわふわと笑ってる。



まったく。



友達作りが苦手な私は、1年の頃から先生にお願いして、家庭科室でお菓子を作る許可をもらってから、一人で至福の時間を過ごしていたんだけど…。


今年になってから、たまたま1つ年上の星川くんにクッキーを作ってるのを見られて、それからというもの、星川くんは毎日のように出来上がったお菓子の試食を楽しみにしてるみたいだ。


悪い気はしないし、むしろこんな地味な私に近付いてきたことが嬉しいって気持ちの方が大きい。


まぁ、星川くんの目当てはスイーツなんだけど。



それでも、こんなに長く一人の人と一緒にいられてるのは生まれて初めてで、美味しそうに私の作ったものを食べてくれるのはすごく嬉しい。