またも険しい空気が俺らの中を漂っていると、なにやら騒がしくなった下の方


「…ちょっと見に行ってくる」


そう言ってでていった奏

…たぶんこの空気にも耐えられなくなったんだろうな



でていったと思ったら、すぐに戻ってきた奏は、やたら焦っている


「瑠衣!!来て!!」


…なんなんだ


焦りようがすごいので、全員で幹部室を出ていくと、1人の男とそれを囲む下っ端




あの男、



「………棗、叶愛?」


「よお、暁月のみなさん」


俺の声に、呑気に手を挙げる棗叶愛


……俺らが誤解する原因となった人物、乃愛ちゃんの双子のお兄さんだ




「なんのようだ」


瑠衣の低い声に、へらっとしてる棗叶愛

「いやー、俺のせいでノノが傷ついてるからさ、」

「っ、」


ノノって、乃愛ちゃんのことだよな…?



「のんちゃん…」


やっぱり、俺らは傷つけた



「誤解、は解けてる?」

「…ああ」

「そーか…」


切なそうに目を伏せる棗叶愛に、大切なんだな、と思う



「上、あがってってくれ」

「あー、ありがとな」


瑠衣がそう声をかけると、またもへらっとして俺らの後ろをついてくる棗



全員ソファーに座り、さっきの続きを話す



「乃愛は、今どうしてる?」


「…部屋にこもってる」

まあ部屋っつーか家だけどねー


なんて付け加えて言う棗に、


あ、乃愛ちゃん一人暮らしだから一緒に暮らしてないのか。と、前にした会話を思い出す




そうだ、俺乃愛ちゃんが棗財閥って知ってたのに、ちゃんと考えれてなかった


2人が双子だと知った今、考えればわかることだと思うのに、あの時はたまたまだぐらいにしか思ってなかった


なにやってんだろ…