「…瑠衣って香水とかつけてるの?」

「?、つけてるけど…」

おー、意外

けど
「ふふー、この匂い好き」

「っ、…ならよかった」


なんてゆーんだろ、石鹸みたいな?んでもって甘くて、お日様みたいなあったかーい優しい匂い


…なんだこの匂い。自分で言っといてなんだけど


まあとりあえず、爽やかで甘いの!!

………匂いって説明すんのむずいな。



「〜〜、乃愛オレンジジュースは?」

瑠衣にスリスリしてたら焦ったように聞かれた


…オレンジジュース。


「もうちょっと」

「っ、」

オレンジジュースは愛してるけど、瑠衣はそれ以上だし


「〜〜っ、あー」

「…どしたの?」

急に声をだした瑠衣にびっくりする

「また声出てた」

片手で真っ赤な顔を隠しながらそう言った瑠衣

ふふっ、耳まで真っ赤ですよい


てか、
…瑠衣はそれ以上だとか言ってたこと?





「あは」



恥ずかしいけど事実だしね




「…俺乃愛に殺されそう」

「なんだそりゃ」

別に瑠衣のこと殺さんぞ


「…いや、うん。
オレンジジュース買いに行くぞ」

「えー」

「…もうすぐで3時間目終わるから」

「行きます」


休み時間になったら廊下とか人いっぱいなるしね

女子とか瑠衣見てきゃーきゃー言うし…やだ



急いで瑠衣から離れ、自販機へ向かう


「乃愛手」

早足で歩く私に追いつくなり、瑠衣は私の手を取って、恋人繋ぎしてきた



…いや、あのね、恋人繋ぎはいつものことだし、さっきもしてたんだけど

なんだろ、あの繋がれる瞬間の、手を絡める動作がやたらドキドキするんだよね



なんとなく、繋がった瑠衣の手をぎゅっと強く握ると、握り返してくれた瑠衣

「へへっ」

「…かわい」

「へ?」

「いや、なんでもない」


…なんか聞こえたんだけどな


大きくて温かい瑠衣の手に包まれながらやっと着いた自販機



…の前に佇む、見るからに不良なやつら5人



あれって煌雅のやつら?




「チッ」

瑠衣も気づいたようで、さっきの甘い雰囲気から一気に鋭くなった


向こうは私達に気づいてないようで、呑気に喋ってる


…あいつらに気づかれずにオレンジジュースは無理だな


「瑠衣、戻ろ」

絡まれてもだるいし


「いいのか?」

「んー、瑠衣なんか飲み物持ってる?」

とりあえずなんか飲みたい


「…ブラックコーヒーしかない」

「……」


ワー大人デスネ



「じゃ、じゃあ他になんかある?」

「みんな開けてるやつしかない」


…私もう1本飲んじゃったからね


「あ、じゃあカナの「やだ」えー」

カナのなら絶対飲めるのに

「…買うしかないのか」

諦めよう
そして煌雅は無視しよう


「乃愛はそこにいて、俺が行ってくる」

そこ、と指さすところは曲がり角のところで、ちょうど煌雅のやつらからは死角になってるところ


「…じゃあお願いしよーかな」

「まかせて」

私の頭を撫でて自販機へ向かった瑠衣


あ、お金渡してない


…後ででいっか




瑠衣に言われたところで、少し耳を澄ましながら瑠衣を待っていた