人生で初めて、欲しいと思ったものだったのに、それは絶対に手に入らないであろうことに気付いてしまった。
そして、人生で唯一欲しいと思ったものですら、なりふり構わず、誰の迷惑も考えず、奪い取ってまで欲する強い気持ちではないことに気付いてしまった。
それが残念だった。
あたしは、彼女のように熱烈に、周りを無視して人を愛することができない人間なんだ。
それでも、彼女とあたし、まともな人間がどちらかといえば、それは世間的にいってあたしであるという事実を自覚できることが救いだった。
この男はあたしのものにはならない。
きっと一生そうなのだ。
二人、この狭い部屋で、死ぬまで、あるいはどちらかがどちらかを殺すまで、お互いの首に、首吊りのロープを掛け合って生きていくんだ。
不幸だけど、羨ましい。
—―隣人はヒモである fin.——

