隣人はヒモである【完】




「ごめん紀香、家に入れて。……この人は何も関係ないよ」

「嘘、何も関係ない人が家にいる訳、ないじゃない」

「紀香」



取り乱した風に泣きじゃくる秋元さんは、あたしの元を離れると今度はレオさんの腕を握り、彼をきつく抱いた。



「どこにもいかないで、誰のものにもならないで、わたしのものでいて」



呪いのような言葉。


見えない糸が、彼をがんじがらめにしているのがよく分かる。


この人は人だ。


ペットでも、ましてや道具でもなんでもない。


まぎれもない人だ。


だけど彼女にとっては違う。


彼は紐だ。彼女の命をつなぐ、人でも動物でもない、ただのもの。


お金で買い、所有し、閉じ込めて、優しい彼をどこにもいかせない。誰のものにもさせない。


俺はペットじゃねーのよ、と言っていたレオさんの言葉を思い出した。ペットじゃない。それ以下。そう言いたかったんじゃないだろうか。


あたしにこの人たちは救えない。


あたしに彼女は殺せない。


それが彼を殺すことだとしても。


レオさんの首には、細い紐がぐるぐる巻かれ、ぎゅうぎゅうに締め付けられている。


あたしにはどうしようもできないほどにきつく。


少し泣きそうになった。