不意に背後でかちゃりとカギが回る音がした。
あ。と思った直後、がたんっと音を立てて扉がほんの数センチ開いたところで止まる。
チェーンをかけていたせいで、大人が入って来られるようなすき間はできなかった。
「……レオ?」
その僅かなすき間から、不安そうな声と、凍り付いた表情のまま中を覗く秋元さんの姿が伺えて、あたしの思考も停止する。
レオさんの方が慌ててあたしを押しのけ、チェーンを外し、彼女を中に迎え入れた。
「……どういうこと?」
彼女の声からは怒りか憎しみ、あるいは悲しみか、どちらともいえない震えを感じて、背筋がぴんと伸びる思いがした。
「……紀香、お帰り」
「どういうこと? レオ。どうしてこの人が私たちの家にいるの?」
「……ああ、説明するから、」
「二人で何をしていたの? どうして? 私、」
秋元さんの舌の名前は紀香さんというのか。どうでもいい情報がいやに脳内に染みる。
「私、あなたに、……レオを取らないでってお願いしたのに、」
ついには、わっと泣き出した彼女が、あたしの腕をものすごい力で押さえつけてきた。
修羅場に間違いがなかった。
不思議と痛みは感じないし、彼女は泣くばかりであたしに危害を加えようとする動きはそれ以上見られなかった。

