隣人はヒモである【完】




いくつもの矛盾が生じている自覚はあるのに、あたしはなぜか胸が高鳴るのを感じる。


平日の午後18時。


もう彼女が帰ってきているだろうか。彼は一日中あの家で何も生まない一日を過ごしたんだろうか。


……気になる。


会いたい。触れたい。


ふと思い立って、靴を履いたままの勢いであたしは外に出て、隣の家のインターホンを押した。


ほぼ無意識的で、何も考えずに。


彼女の方が出る可能性なんて、一ミリも考えなかった。



「……こわいよ、君」



扉はすぐに開き、あたしは押し入るようにその中に入って、あたしを見下ろすレオさんの唇を無理やり奪った。


ここまで近ければ、前髪がかかっていようといまいと、目の動きはよく分かる。


一瞬驚きで見開かれ、それから怪訝そうに眉根が寄せられる。


素早く扉を閉めて、カギを回し念入りにチェーンまでかけた。


その勢いのまま玄関の靴を確認し、女性ものがないことで彼女はまだ帰っていないことを知る。



「なんなの? 不法侵入?」

「……昨日のお返しに」

「お返しというか、仕返しだよね」

「好きになりました」

「はあ?」



自分でも突拍子がないのはよく分かる。