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かわいそう。
かわいそう?
あたしが?
「穂波」
「……なんでるいくんが」
……まさかここまでする?
あの人が、あたしに可哀そうだと言い放ち、ふらりとした足取りであたしの部屋を去った翌日の大学の帰り道、一体いつから待っていたのか、校門の前にるいくんがいた。
ひょいと腕を上げ、いつもと変わらないのらりくらりとした動作は、ラインの中につらつら並べられていたねちっこい文言からは連想できない。
確かに家は教えていなかったものの大学は教えてある。だからって、連絡を1週間無視したくらいで来る? 普通。
他の学生に、彼が他大学の学生であることやあたしとの関係性なんて分かるはずがないのだろうけど、あたしは必要以上に人目を気にしてしまい、彼の腕を取って人気のない路地へ誘導した。
「怒ってる?」
「怒ってないと思う?」
「ごめん」
「どうしてきたの?」
「連絡が取れなかったから、心配で」
「……ちょっと忙しかっただけだよ。学校まで来られても困る」
語気が強くなり、怒りの感情をうまくコントロールできなくて思うままに彼を睨みつけた。