そんな風に過ごしているうちに、いつの間にか時刻は正午を過ぎていて、あたしはそろそろ家を出たい時間なんだけど、相変わらず全く起きる気配のないレオさんが少しばかり心配になる。


どうしよう。置いて出ていいだろうか?


でも目を覚ましたら? 彼は黙って帰るだろうか。それとも何食わぬ顔で居座り、あたしの家の冷蔵庫を勝手に漁って、遅めの朝食もしくは昼食を口にするだろうか。


講義が終わるのは夕方16時過ぎだ。


なんとなくあたしは、今家を出て帰ってきたときに、レオさんがいなくなっていたらがっかりする気がして、結局大学に行くのを諦めた。


たった一度の欠席で単位の取得が難しくなるような講義ではない。


ふと芙美のことを思い出し、休むことを連絡しようとスマホを取って、るいくんからの連絡がさらに3件増えていたことに気付いてうんざりした。


他に、芙美からこの前話していた期待外れのイタリアンレストランのホームページのURLも送られてきていた。るいくんの話から芙美意識を逸らそうとするあまり、熱心に話を聞きすぎたのかもしれなかった。あとで暇があった見ることにして、ひとまずスルーする。



「……ってえ」

「あ」



芙美への連絡が済んだころ、玄関でむくりと起き上がった影が見えて、あたしは反射的にまたレオさんのすぐ隣に膝をついて、彼の前髪をかき分けていた。