隣人はヒモである【完】




だとしたらとても面倒くさい。


自然と口をついて出たため息が、部屋の空気をどんより重くするようだった。


いっそ、もう会わないということを伝えた方がいいのだろうか。そうしたらるいくんは諦めるだろうか。


んんと唸って先ほど放り投げたスマホに手を伸ばした瞬間、玄関でピンポンとインターホンが鳴った。


何せ人を招いたことのない部屋。毎度、NHKの集金か、酔っ払いか、招かれざる客であることは明らかなので、身を固くした。最近は、隣の女が訪ねてきたこともあったっけ。


いつもの如く、恐る恐るのぞき穴に目線を合わせて外を見た。


月曜日、朝10時。誰もいない。


なんだなんだ?


間違い? あ、ポスト?


ドアの中間より下に位置してあるポストの中を音を立てないよう確認したけど空だった。


誰もいないといないで少し怖い。


インターホンが鳴ってからは、音を立てないようゆっくり移動したとはいえ、そんなに待たせたわけじゃないのに。


訝しがった直後、ふと何故かレオさんの顔が浮かんだ。