「穂波の色白なところが好き」


「ありがとう」


「あと料理がうまいとこ。意外にもうまいとこ」


「意外にもなの」




褒めてもらえるのは嬉しいけど。冷蔵庫の食材でぱぱっと作ったオムライスにケチャップをどばどばかけながら言うるいくんの言葉はあまり信用できない。


いやケチャップかけすぎやろ。


せっかく成功したふわとろ半熟卵は血塗られたがごとく真っ赤に染まってしまっている。




「今度餃子作ってよー、一人暮らし始めてから俺、穂波の手料理だけが栄養源なんだからさー」


「知らんがな。ケチャップどばどばかけてる時点で塩分とりすぎだからね、とった栄養帳消しにされてるからね」


「お願い、餃子ー」


「やだよ、餃子ってめんどくさいんだよ、そういうんは彼女に頼んで」


「彼女なんていないもん……」



むっとした表情であたしを見たるいくんを知らんぷりしてスマホを見てると、食べ終えたらしいるいくんが長い腕をあたしの腰に置く。