──もう、どこにも行かせねぇからな──

お腹の底から響いて来るような声が聞こえたかと思うと、噛みつくように唇を奪われた。


「っん、ふ…、は、くるし…」

今までにない貪るような口付けに堪らず由紀恵は、俊哉の胸を叩いて訴えた。

唇を解放した俊哉も息が上がっているようだ。

「はぁ、機嫌直ったか?」

蕩けた状態の由紀恵はすぐに答えることが出来ずにいると、服の裾から俊哉が手を潜り込ませてきた。


「あっ、駄目っ、ストップっ、ストップ──」

と両腕を力の限り突っ張った。


「うぐっ…」という声と共に、俊哉が視界から消えた。


由紀恵がベッドから身を乗り出すと、


「また、鳩尾をやりやがったな…」

と、涙目の俊哉が睨んでいた。