それぞれ社会人になり、3年が経とうとしていた頃。

めっきり呑むことも少なくなっていた雅紀とバーで偶然居合わせた。

「お前らまだ結婚しねぇの?」

「………」

「…どした?」

「ん、ちょっとな。…てか、別れた…」

「え……」

まだ続いてるとばかり思っていた。

その時はもう、抱いていた優への恋心なんて青春の思い出の1ページでしかなかった。


──そして、それからひと月経った頃、思わぬ着信があった。

優は電話の向こうで涙声で、俺は胸がギュッと鳴る音が聞こえた気がした。