「唐揚げ、美味しそうだねぇ」

と、ビール片手に私のコンビニ弁当を眺める大家さん。

「いや、コンビニ弁当なんで……1つ要ります?」

「え、くれるの?じゃあ、あーん」

え、あーん?いや、初対面ですけど??
1、2秒固まったが、まだ大家さんの口は開かれたまま。

なので、何となく唐揚げ1つをその口へと持ってってしまった。

「ん、おいひーね。」

「はは、…よかったです」

周りの皆の動きが止まってたのは、いうまでもない。

「トシさん、それは駄目です。ちょっとすっ跳ばしすぎですよ。」

と、幾太くんが大家さんを注意すると、

「えっ、由紀恵ちゃん引いてた?ごめんねぇ、つい。お姉さんっぽい子にはしてもらいたくなっちゃうんだよねぇ、あーん。」

すると、かなえさんが言った

「それは、お店のお姉さんしてもらってください。いきなり初対面であーんは駄目です。しかも、30超えたオッサンが何言ってんですか!」

小動物系の顔からは想像もつかない般若のような顔で、ドスの効いた声で。

かなえさんのギャップに度肝を抜かれつつも、シェア仲間の皆さんに暖かく迎えられ、部屋も1つ与えてもらえ、大家さんの部屋の隣ってのが気になるけど。まぁここしか空いてないからしょうがない。


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