空が赤く染まってきた頃、支部長と結実はこれからお家デートと言って帰っていった。二人はもう今週から同棲し始めたのだとか。

私たちも駅に向かって歩き出した。すると俊哉がまた指を絡めて手を繋いできた。

「ねぇ、ちょっとこの繋ぎかたは…」
「おじさんでも大丈夫らしいぞ。桜井支部長もやってた」

「あ、そういえば…、でも相手が結実ちゃんだし。」

「俺は由紀恵ちゃんだから、するんだけど?」
と首を傾げて顔を覗きこんできた。

「それに、腕組むと胸が当たってヤバい」
とにやりと笑ってきた。

「なっ!」
「仕事はあんだけ出来るのにそういうとこは結構無防備だよね」

「もう、腕組まない……」
「はは、まぁ此方の方が逃げられなくていいしね。」

繋いだ手をくいっと引っ張られ、驚いて俊哉の方を見上げると『チュッ』とキスが降ってきた。

「……な、何してんの!誰かに見られたらっ」
「俺は見られたい。」

「はぁ?」
「この子は俺のモンだからって」
「え……」

「昨日はお預け食らったしなぁ」
「皆居たのに無理でしょ?」

「じゃあ、居なかったらOKした?」
「……」

「まぁ、居なかったら俺が襲ってたな」
「じゃあ、暫くお預けにしときます」

「えー、それは困るなぁ」
「いや、襲われたら困るんで」

「まぁ、気長に待ちますよ。大事にしたいんで」

と優しく微笑む俊哉に、暖かい気持ちになって手を繋いだまま電車に乗り込んだ。