「桜井支部長……あの、橋田さんと?」

と俊哉も目を見開いている。

「まぁ、な。」
「もう2年くらいになるんですけど、由紀恵先輩気づかないんだもん。私も言うタイミング逃したまんまで…」

「えぇ、って支部長結婚してらっしゃるんじゃ?」

「悪いがこの歳でまだ独身だ。バツもついてない。」
「はは、すみません、勝手な思い込みで…」

その側では俊哉と結実が肩を揺らし、笑いを堪えていた。


その後、ダブルデートのようになり、4人で昼食を取ることになった。

「先輩、楽しかったですね、ジェットコースター。」
「本当、久しぶりで凄く興奮したよー」

「でも、あの並びはおかしいだろ。何で俺が長谷川と乗るんだ。」
「だって、たっくん最前列嫌だって言うし」

「「たっくん…」」

「あぁ、名前が拓実なので、たっくんなんです」

「なんだ、お前らその目は。」

「「いえー」」と俊哉と由紀恵はにやけ顔で桜井を見た。


「本当、一時は結実が長谷川に狙われてると思って、北にお前を突き返そうと思ったが、やはりあの時返しておけばよかったな。」

「もう、あの一週間地獄だったんですからね!支部長補佐!」

「…橋田さん、桜井支部長、すみませんでした。」

「んー、でもたっくんがあんなにヤキモチ焼きなのが発見できて、それはそれでよかったんですけどね?」

俊哉のように顔は赤くはならなかったが、無言で窓から外を見て聞こえない振りをしている支部長は、失礼だが可愛く見えた。