───────────
「お疲れ様です」

と、やや声を低めて大きめに支部長補佐の背中に声をぶつけてみた。

面白い程にその肩は跳ね上がる。

「お、お疲れ。忘れ物か?」

今日初めて自分に向けられた言葉を聞いた気がする。
でも、顔はデスクに向いたままだ。

「何か私、やらかしましたか?」
「いや…」

由紀恵は足を踏み出す。

「じゃあ、何が不満ですか?」
「……何も…」

もう俊哉のデスクに横までたどり着いた。

バンッ!!

由紀恵が俊哉のデスクに手を叩きつけると、俊哉も顔を上げた。

「何なんですか、あんな回りくどいことして!あんなにちまちま訂正の箇所に付箋なんか張らないで、直接言ってもらえれば訂正くらい直ぐにやります!私に至らない所があるなら、はっきり言ってください。ちゃんと支部長補佐のやり方に合わせます。それが私の仕事なので!」

由紀恵は一息に捲し立てた。

「…………」

俊哉はまた上げた顔をデスクにへ戻した。


支部長補佐、ちゃんといい仕事をしたいのっ。
はっきり言ってください!