翌朝の休日である土曜日。

遅めの起床、時刻は9:30。
真波は今日は午前勤務でそのまま彼の家でお泊まりデートだそう。幾太くん、勇気くんは通常出勤。かなえさんは早番と夜勤でお昼に一旦帰って来てシャワーを浴び、また出勤する予定だ。
なので、今家には私と支部長補佐の二人。

いつも休みの日でも早起きな支部長補佐はまだ起きてきていない。

一人分も二人分も然程変わらないので、二人分の朝食を用意した。

「……まだ起きてこない。二日酔いかな?」

折角の朝食が冷めるので、支部長補佐の部屋の前で声をかける。

「支部長補佐、起きてます?ちょっと朝ごはん多目に出来ちゃったんで、食べませんか?」

「…………。」

寝てんのかな?でも部屋からはゴソゴソ音が聞こえる。

「長谷川さん──」
と言うとドアノブに手をかけたと同時に内側からドアが開き、

「飯、食べる……」

と、ガラガラのひどい声のと共に少し赤みを帯びた顔の俊哉が現れた。

「うわ、ひどい声。熱もありそうですね」

「ん、多分」

と、一歩踏み出してきたはいいが、入り口の段差でつまずいた俊哉がそのまま由紀恵に覆い被さってきた。

「うわ、重っ、熱っ」
「……わりぃ」

「ひぃぁあ」
「うっ」

耳許で喋られた由紀恵は腰砕けになり、二人で廊下に倒れこんだ。後の呻き声は俊哉の声だ。由紀恵の立てた膝が見事鳩尾にヒットしたようだ。

「……おまぇ……」
「だ、だって耳許で話すからー」

涙目で睨みを効かせた俊哉の顔を、なんだか可愛く見えたのは、今は取り敢えず言わないでおこう。

大家さん、大丈夫ですか(笑)